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O田さんのコラム

TV BrosのB問題・O田さんコラムです。

原稿の〆切日を逆算すると、マスコミが重大事件のように報道していた頃に書かれたんじゃないかと思います。

何もワイドショーで顔をひそめてみせなくたって、こんなふうなエールの送り方もあるんだなと思って泣けました。あったかいです。いつもの倍以上と思われる文字数で、文字も小さく、行間も狭いです!
老人は、天の川の上から、ここ数日の下界の人々の大騒ぎを見つめ「ふぅー」とため息をついた。老人の名は李白。言わずと知れた、唐の詩人、詩仙と呼ばれた大天才である。大騒ぎとは、例の国民的と呼ばれる若者の、無邪気な酒の失態である。

中略

「飲み方の度が過ぎたのではないでしょうか」。人々が言う。そのたびに李白老人は耳が痛かった。自分の若い頃の数々の酒の失態を思い出した。

「いい人というイメージが強かったのでショックでした」そういう人もいた。「酒で酔ったら悪人か」、李白はつぶやいた。あの若者がこのことで誰かを傷つけただろうか。

「大声で叫ぶのは迷惑である」。ふっと李白は笑った。その少し前、ちょうど桜が満開のころ、人々が群れをなし、気が大きくなり、集団で歌い踊り叫び、献花をし、大騒ぎしていたのもこの空の上で笑って眺めていたからだ。大勢で飲むのは李白の好みではなかった。

中略

「月下独酌」。李白作の不朽の名作と呼ばれる詩である。月と自分の影を共に、三人で酒を飲み交わそうという詩である。この国の人々は、自分の詩も、ストレスがゆえと思うのだろうか。気分がよいからこそ、飲むのだ。

中略

若者は酔い、友人の名を叫び、隣国の歌を歌ったという。そこに何の悪が酌み取れよう?

中略

ある学者は「癖ではないか?」と言った。李白は苦笑して頭をかいた。癖でなくても、外で酔い、空気を感じてみたくなれば服など脱ぎ捨てるだろうということを何故想像できないのだろう。

中略

ある政治家は若者を「最低の人間」と呼び、次に「最低の行為」と言いかえた。李白にはどちらもぴんとこなかった。その政治家の進める政策に若者がかかわっていたという。それを台なしにされたから憤ったと。「政治家は相変わらず・・・」と李白は思う。その政治家が責任者であれば、政策から若者を外すも外さないも、その政治家の一存である。若者の人間性が悪でないと判断するならば、自分の責任において外さないことも気概であろう。政治家とは新しい法を創る人である。物事の判断基準が自分の頭ではなく「法まかせ」で、どうしてそんな人に法が創れよう。又聞きの事実だけを聞いて、そこで本当に何が起きたのか、想像してみることのできない人物にどうして政治ができるだろう。

とそこまで考えて、李白は今夜もだいぶ酔いが回ったことに気がついた。もしかしたらこんなヘンテコリンな騒動が起きているように見えるのも、自分の酔いのせいなのかもしれない。

中略

「ああそれにしても酒は美味い。落ち合う先は天の彼方よ」。李白はそう呟き、またもう一杯飲むのであった。

終わり。

(TVBros.5.16-29号より抜粋)
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契約社員(在宅)+主婦少々。現在、本館更新停止中のため、たまーにJ長K長の記事も書きますが、ほとんどがただの日記です。

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